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採用

【決定版】ベンチャー採用を成功に導く完全攻略ガイド<2025年>

渋谷の君主
経営者(1年目)
経営者(1年目)

ベンチャー企業って、優秀な社員は採用できなくない?

結論、優秀な社員は採用できます。

今回は、渋谷でコンサル系の企業を経営している私が、ベンチャー企業でも優秀な人材を確保するための方法を解説します。

本記事を読むことで、どんな人材を採用したら良いか、どうしたら優秀な人材を採用できるか、採用後に自社に長く定着するかを理解することができます。

はじめに:ベンチャーにおける採用の重要性

そもそも、ベンチャー企業においては採用はどのくらい重要と考えられますでしょうか。

結論、「ベンチャー企業は“誰を仲間にするか”がすべてを左右する」と言っても過言ではありません。

なぜなら、ベンチャー企業は大企業と比べてリソースが限られており、いかに少ない人数で大きな成果を出せるかが命運を握るからです。

自社に合わない人材を採用するも解雇まで踏み切れずに、会社が徐々に蝕まれていくことを多くのベンチャー企業経営者が一度は経験します。私自身、現在のコンサル会社立ち上げ以前に経営していた別業態のベンチャー企業では、初期段階で採用に失敗してしまい、一時的に事業が大きく停滞した苦い経験がありました。

当時は急激に顧客が増え、限られた人数で対応していたため、どうしても「とにかく誰でもいいから採用して戦力を増やさなきゃ」と焦りがちでした。その結果、スキルや経験だけに注目して入社を決めたものの、いざ一緒に仕事をしてみるとカルチャーが合わずに衝突が頻発。離職率が一気に上がり、採用コストと学習コストだけが膨らむ――そんな負のスパイラルに陥ったのです。

しかし、試行錯誤を重ねた末に「ベンチャーこそ“人”が最重要要素である」という当たり前の事実を痛感しました。なぜなら、大企業であれば部署ごとに人材が豊富で、何かが起きてもすぐにカバーできる体制があります。一方、ベンチャーの場合は会社が小さい分、社員1人のスキル・モチベーション・価値観が事業の未来を左右する影響力を持つのです。

特に従業員数が10〜100名規模の場合、経営陣と現場メンバーとの距離が近いぶん、一人の行動が組織全体に波及しやすくなります。優秀な人材を採用できれば、企業全体の成長が加速度的に進む一方、ミスマッチな人材を誤って採用してしまうと、その影響がチーム全体に影を落とします。「いかに早く、しかし慎重に“必要な人材”を確保するか」がベンチャー経営の肝だということです。

このように、ベンチャーが人材を採用する際には、単に目先の人手不足を解消するためだけでなく、中長期的に“チームとして成果を上げられるか”を見極める姿勢が大切です。本記事では、過去の失敗経験やそこから得た学びを踏まえ、採用に苦労しているベンチャー経営者が、より効果的かつスピーディに採用を成功させるための具体的なヒントをお伝えしていきます。

採用成功のための土台づくり

企業のミッション・ビジョン・バリューの再確認

採用活動をスタートする際、まず最初にやるべきことは「自社の存在意義を改めて言語化する」ことです。なぜこんなにも当たり前のステップが重要なのかというと、私自身、過去に事業をスピード重視で立ち上げたとき、「会社がどんな未来を描いているのか」を曖昧なまま採用を進めてしまい、入社後にメンバーとの方向性の不一致が顕在化してチームが混乱した苦い経験があります。

ベンチャーこそミッション・ビジョン・バリューが命綱

  • ミッション(存在意義): 「この事業を通じて、何を実現するのか?」
  • ビジョン(将来像): 「将来的にどんなインパクトを社会に与えたいのか?」
  • バリュー(行動規範): 「チームが共有すべき価値観・行動原則は何か?」

これらが曖昧だと、採用時にどんな人材を求めているかが明確に伝わらず、結果として社内に「なぜこの仕事をしているのか」が分からないまま働くメンバーが増えてしまいます。特に10〜100名規模のベンチャーでは、経営者自身が直接メンバーに影響を与える場面が多いので、ミッション・ビジョン・バリューがぶれないことがとても大事です。なぜなら、1人が発する言葉や行動が、良くも悪くもチーム全体に大きく波及するからです。

求職者が共感するストーリーづくり

よくあるのが、企業理念を難しい言葉で飾ってしまい、全く心に響かないケース。大切なのは「言葉の格好良さ」ではなく「そこにあるリアルなストーリー」です。たとえば、

  • 創業のきっかけとなった個人的な体験
  • 現場で感じた課題や社会的問題への想い
  • それを解決するための具体的なアクション

これらを正直に語ることで、求職者に「ここで働きたい」という共感が生まれやすくなります。また、社員が「やりがい」を感じる要素をできるだけ定量化・可視化してみましょう。たとえば、サービスがどれくらい社会にインパクトを与えているのか、月間ユーザー数や導入企業数、顧客満足度などを数字で示すと説得力が増します。

私の失敗談から学んだこと

私があるプロダクトをリリースした際、当初は「社会を変える」と大きな理想を掲げていたものの、チーム内では具体的な行動規範を決めていませんでした。結果、メンバー各自が別々の方向を向いてしまい、プロダクトの品質や進捗管理にばらつきが発生。エンジニアと営業、デザイナー同士で衝突することも多かったのです。しかし、ミッション・ビジョン・バリューを再定義し、それを朝会や社内SNSで日常的に共有するようになってから、チームワークが大きく改善しました。採用面でも「この会社、ぶれない姿勢があるんだな」と感じてくれる候補者が増え、カルチャーフィット率がぐんと上がったのを覚えています。

採用ブランディングと情報発信

ミッション・ビジョン・バリューが明確になったら、次は「採用ブランディング」と「情報発信」に力を入れる段階です。ベンチャーにとって、“知名度”以上に大切なのは“魅力度”です。いくら名前が知られていなくても、「面白いことをやっている会社」「社会に大きなインパクトを与えている会社」として興味を持ってもらえれば、求職者は自らドアを叩いてくれます。

競合他社との差別化ポイントを洗い出す

採用ブランディングを進めるには、まず他社と比べて優位性のある要素を整理しましょう。ポイントは以下の通りです。

  1. 製品・サービス: 他社にはない独自の技術やサービス、課題解決力
  2. ビジネスモデル: 利益構造や市場戦略がどうユニークなのか
  3. 企業文化(カルチャー): メンバーの働き方、価値観の特徴
  4. 成長環境・スキルアップ: 若手でも大きな裁量を得られる機会

たとえば「最新のAI技術を活用したプロダクトを、若手中心に開発している」「少数精鋭で自由度の高い働き方を実現している」といった内容が差別化ポイントになるかもしれません。私が以前あるプロジェクトを進めた際には「最先端×グローバル×リモートワーク」という3つのキーワードを軸にブランディングを行い、どれか1つでも刺さる人を積極的に採用して成功を収めました。

公式サイトやSNSの整備は“顔を見せる”ことから

採用ブランディングを強化するには、公式サイトやSNSでの情報発信が欠かせません。特に注意したいのは「どんなカルチャー・価値観を持った人材が活躍できるのか」を分かりやすく伝えること。たとえば、オフィスの風景やチームメンバーのインタビュー記事を通じて、社内の雰囲気や働く人のリアルを公開するだけでも、求職者に安心感を与えられます。

  • 公式サイト・採用ページ: 経営理念やビジョンを視覚的かつ端的に伝える。社員のストーリーや実績などの「ヒーローコンテンツ」を用意する
  • SNS(X、Facebookなど): 社員の仕事ぶりや日常のオフィス風景を投稿し、社内カルチャーを発信。コメントを通じて候補者とインタラクションを図る

経営者自身が情報発信する強み

最後に強調しておきたいのは「経営者の発信力」です。私の場合、社内SNSはもちろん、個人のTwitterやブログ、さらに動画配信などさまざまなチャネルで「会社の未来像」や「日々の挑戦」について発信したところ、採用面で非常に大きな反響がありました。やはり、経営者が自ら顔を出して語るメッセージは重みが違います。特にベンチャーでは、トップの想いや人柄に共感して入社を決める人が少なくありません。

「この人のもとで働きたい」と思われることが、ベンチャーの採用ブランディングにおいては最強の武器となるのです。逆に言うと、経営者の想いが社内外に伝わらないままでは、優秀な人材はなかなか集まりません。もし今、どのメディアで発信するか迷っているなら、まずはSNSやブログなど気軽に始められる媒体を活用してみてください。継続的に情報を発信することで“ファン候補”が徐々に増え、やがて「一緒に働きたい」「この会社で成長したい」という人が自然と集まってきます。

採用チャネルの選び方

ベンチャー企業が採用活動を行う際、「どのチャネルを使うか」は成功の可否を左右する大きな要素です。限られたリソースの中で人材を効率良く獲得するためには、求人媒体やSNS、リファラル(社員紹介)など、多彩な手段を上手に活用していく必要があります。ここでは、それぞれのチャネルの特徴や活用のポイントについて、私自身の体験を交えながら詳しくお伝えしていきます。

求人媒体・SNSの活用ポイント

一般的な求人媒体の特徴とコスト感の把握

まずは、王道ともいえる「求人媒体」の活用から考えてみましょう。リクナビやマイナビ、Wantedly、BizReachなど、多種多様なサービスが存在します。それぞれ掲載料や成功報酬の仕組みが異なるため、募集する職種や採用人数、予算、求めるスキルレベルに合わせて選ぶことが大切です。

  • リクナビ・マイナビなど大手媒体
    • 特徴: 大手企業から中小・ベンチャーまで幅広い掲載がある。認知度が高く、多くの求職者にリーチ可能
    • デメリット: 採用コストが高くなりがち。埋もれてしまうと、求職者に見つけてもらえないリスクも
  • Wantedly
    • 特徴: “共感採用”を掲げ、企業のカルチャーやミッションに共感する人材を集めやすい
    • デメリット: 成果報酬ではなく月額料金制が主流。初期費用をかけてもすぐに応募が来ない場合、コスト対効果の検証が必要
  • BizReach・LinkedIn
    • 特徴: ハイクラス人材、経営層クラスの転職を考える人にもアプローチしやすい
    • デメリット: 求職者の年齢層や経歴が高めのため、若手中心の採用には向かない場合も

ベンチャーの場合、コストのかかりすぎを防ぐためにも、掲載料や成果報酬型かどうかをきちんと把握し、どの媒体が自社の採用ニーズにマッチしているかを見極めることが大事です。私の場合、初期段階のスタートアップでは大手求人媒体の掲載料が非常に負担になったため、WANTEDLYやSNS中心に切り替えたところ、コストを圧縮しながらカルチャーフィット率の高い人材に出会えた経験があります。

SNS(Twitter、Instagramなど)の可能性

最近ではSNSを使った採用も注目度が高まっています。日本ではビジネスSNSのLinkedInが流行っておらず、最も採用に繋がるSNSはX(旧、Twitter)と思います。

  • Twitter
    • 経営者や社員が個人アカウントで自社の取り組みや日常の仕事ぶりを発信し、ダイレクトメッセージで候補者とコミュニケーションを取れる
    • 「個」としての魅力や想いが伝わりやすく、共感を軸にした採用につながりやすい

また、Instagramでは写真や短い動画を通じて会社のカルチャーやオフィスの雰囲気を視覚的に伝えられるため、個人経営のお店などでは商品のマーケティングで認知が広がることで採用にも繋がるということがあるようです。(Instagram採用は私の会社の業態からそれほど効果がないと思っており、利用していないです)

個人的なエピソードとして、私がエンジニア採用に苦戦していたときに、X(旧、Twitter)で自社の技術スタックや「こんなことを実現したい」というビジョンを発信し続けたところ、フォローやリツイートを通じて共感を示してくれたエンジニアが応募してくれました。SNSには“ダイレクトな出会い”が転がっているので、意外なチャンスを逃さないように、まずは気軽に発信してみるのがおすすめです。

リファラル採用のメリットと注意点

リファラル採用(社員紹介)の利点

「リファラル採用」は、社員が自分の知人や友人、元同僚などを会社に紹介する仕組みです。ベンチャー企業で急成長しているところは、このリファラル採用をうまく活用しているケースが多い印象を受けます。主なメリットは以下の通りです。

  1. カルチャーフィット率の高さ
    既に社内で活躍している社員の人脈からの推薦のため、価値観や働き方が似通っている場合が多く、定着率が高い傾向にあります。
  2. 採用スピードアップ&コスト削減
    紹介を受けた後の面談やスケジュール調整がスムーズで、採用媒体やエージェントの費用がかからないケースが多い。
  3. 社員のモチベーション向上
    自分が紹介した人が活躍すると嬉しい、という心理が働き、社内の結束力が高まる効果も期待できます。

特にベンチャーにとって、一番嬉しいところとしては、やはり採用コストが低いことが挙げられます。転職エージェント経由での採用の場合、エージェントに対して数百万円の手数料が発生しますが、リファラル採用であればそのエージェントへの手数料が発生しないため、非常に安価で採用することができます。

私自身、創業期に「リファラル採用」でエンジニアチームを拡大した時期があります。信頼できるメンバーが「昔一緒に働いていた優秀な人がいる」と声をかけてくれて、スキルもカルチャー面も合う人に来てもらえたおかげで、開発スピードが飛躍的に上がりました。リファラル採用は、採用ブランド力がまだ弱いスタートアップでも、質の高い人材を得られる可能性が高いと実感しています。

注意点

ただし、リファラル採用にはいくつかの落とし穴もあります。

  • 社員の人脈に依存しすぎない
    リファラルだけで採用を回そうとすると、紹介者のネットワークが枯渇すると同時に採用が止まってしまうことも。あくまで複数のチャネルの一つとして活用する意識が必要です。
  • 人間関係のしがらみを避けるためのルール設定
    入社後に仕事のフィードバックや評価を行う際、紹介者と被紹介者が遠慮してしまうリスクもあります。紹介者に対するインセンティブ制度や、トラブル発生時の対応フローを事前に決めておくとスムーズです。

私が拡大期に一度やりがちだったミスは「社員同士の仲の良さ」だけで採用を進めてしまったこと。結果として、スキルセットが社内で被りすぎたり、業務範囲が狭いポジションばかりに同じタイプの人が集まってしまったり…。リファラルを使う際は、社内で本当に必要な役割を満たせるか、事前に要件をはっきりさせておくのが大切だと学びました。

イベント・コミュニティへのアプローチ

勉強会・交流会などリアルイベントへの参加・主催

オンラインの求人媒体やSNSが主流になりつつある昨今でも、リアルイベントでのつながりは依然として強い威力を発揮します。特にエンジニアやデザイナー、マーケターといった専門職のコミュニティでは、勉強会や交流会が盛んに行われています。

  • 勉強会・セミナーへの参加: 新しい技術や最新事例を学べるだけでなく、その場で知り合った優秀な人材とつながるきっかけにもなる
  • コミュニティ運営: 自社で勉強会やミートアップを主催すると、より多くの潜在候補者に自社カルチャーをアピールできる上、「あの会社は面白そうなことをやっている」という認知度アップにもつながる

私自身、以前は「勉強会なんて時間のムダ」と思っていた時期がありました。しかし、実際に参加してみると、高度なスキルを持つ人ほど最新情報のキャッチアップや人脈づくりに積極的であることがわかりました。そこで私の会社でも、自社の技術責任者を中心に定期的なLT会(ショートプレゼン会)を主催したところ、「楽しそうなことをやっている会社だ」とTwitterなどを経由して参加希望者が増え、自然とリクルーティングの母数も拡大した経験があります。

社内見学やオフィスツアーを活用

イベントと合わせてぜひ活用したいのが、社内見学やオフィスツアーの実施です。会社の雰囲気を肌で感じられるため、「ここで働きたい」という気持ちを高める大きなきっかけになります。

  • 実際の働き方やメンバーの様子を見てもらい、カルチャーフィットをイメージしやすくする
  • 「自社ならではの設備やツールの紹介」「経営者とのカジュアルトーク」などを通じて、自社の魅力をリアルに伝える

私がオフィスツアーを初めて導入したときは、正直「見学なんかしてもらっても大した特徴はない」と思っていました。しかし、実際に応募者からは「リアルな仕事風景を見たら、メンバーがすごく活き活きしていて驚いた」「自分もこのチームで働くイメージが沸いた」といったポジティブな声があり、内定承諾率を高める大きな要因の一つになったのです。

採用プロセス設計と候補者の見極め

採用チャネルを多角的に展開し、十分な母集団を確保できたら、次のステップは「選考プロセスの設計」と「候補者の見極め」です。ここでは、ベンチャー企業が限られたリソースの中でも迅速かつ適切に採用を進めるために押さえておきたいポイントを、私自身の失敗談や成功体験を踏まえながらお伝えします。

欲しい人材像と求人要件の明確化

必要なスキルセットの優先順位を明確に

ベンチャー企業では、組織もプロダクトもめまぐるしく進化します。そのため採用時には、「今、必要なスキル」だけではなく、「今後どのような領域へ広がる可能性があるのか」を見据えた要件設定が不可欠です。たとえば、エンジニアポジションなら汎用スキル(言語やフレームワークの基本知識、ロジカルな思考力)を重視するのか、あるいは特定領域の専門性(AI、ブロックチェーンなど)を最優先するのか、優先順位をはっきりさせましょう。

私が創業期に苦戦した原因の一つは、「マルチタスクでなんでもできるジェネラリストがいい」と言いつつも、「最新のテクノロジーを駆使してイノベーションを起こせる人が欲しい」という専門性まで求めていたことでした。結果的に、要件が曖昧で応募者も混乱し、なかなかマッチした人に出会えませんでした。欲張りすぎると、結局は誰も採用できないリスクが高まります。

ヒューマンスキル・マインドセットの重要性

一方で、ベンチャーにおいては「人間としての柔軟性や主体性」が事業成功のカギを握ります。私の経験上、変化が激しい環境では問題解決力コミュニケーション能力、そして自ら学んで成長する意欲を持った人ほど長期的に活躍しやすいです。専門スキルが多少足りなくても、マインドセットが合っていれば驚くほどスピード感を持って成長し、結果的に組織を支える重要な存在になってくれます。

具体的には、面接時に「チームがうまくいかなかったとき、あなたはどのように行動しますか?」といった質問を投げかけることで、その人が責任を周りに押し付けるタイプなのか、それとも自ら課題解決に動くタイプなのかが見えてきます。ベンチャーこそ“人間力”が本当に大切になるため、スキルと同等、もしくはそれ以上にマインドセットを重視しましょう。

面接・選考フローの最適化

スピード感を重視した選考

優秀な候補者ほど、複数社からオファーを受けているのが現実です。そのため、できるだけ早いフィードバック迅速な選考スケジュールを組むことが大切。以前、私の会社では書類選考から一次面接まで1週間以上かかっていた時期がありました。その結果、「他社から内定をもらったので辞退します」と断られてしまうケースが頻発。スピーディにオファーを出せる体制づくりが、良い人材を逃さない秘訣です。

  • : 書類選考を2〜3日以内に実施→一次面接→最終面接まで1〜2週間で完結させる
  • ポイント: 面接日程の候補を複数提示し、候補者に合わせた柔軟なスケジューリング

もちろん、スピードばかりを追い求めて精度が落ちるのは問題ですが、候補者とのやり取りの初動を早くするだけでも、「この会社は真剣に採用を考えてくれている」という好印象を与えられます。

複数のステークホルダーによる面接

ベンチャーではメンバーの一人ひとりが担う役割が大きいため、採用の際には多角的な視点で候補者を見極めることを推奨します。具体的には、

  • 経営者または役員
  • 現場リーダー
  • 同僚として一緒に働くメンバー

これらがそれぞれ面接に参加し、スキル面・カルチャーフィット面を総合的に評価します。私の場合、経営陣だけでなく、実際に候補者と一緒に働く可能性のあるエンジニアやデザイナーにも面接に加わってもらったところ、「現場視点での具体的な質問」が増え、よりリアルな評価が可能になりました。また、候補者自身も「自分と合いそうなチームメンバーかどうか」を直接肌で感じられるため、入社後のミスマッチが減りました。

スキルだけでなくカルチャーフィットを重視

長期的に活躍できるかどうか

スキルが高くても、会社のカルチャーや価値観と合わなければ、結局は短期離職につながるリスクが高いです。特に、スタートアップやベンチャーの場合、業務範囲が広く、イレギュラーな事態も頻発します。そんな状況下で成長を遂げるには、「この会社のミッション・ビジョンに心から共感しているか」という内面的なモチベーションが何より重要。私も高スキルの候補者を採用したものの、会社の目指す方向性に馴染めず数ヶ月で退職されてしまったことがありました。短期離職は企業にとって大きなコストになりますし、チームの士気にも影響を与えます。

スキル面で少々足りなくても、カルチャーに合う人材を育成するメリット

一方、「スキルはまだ発展途上だが、カルチャーが合っていて伸びしろがある人材」は、長期的に見れば企業にとって非常に貴重な存在になることが多いです。特にベンチャーは、個人が新たなポジションや業務領域に挑戦する機会が多いため、“学ぶ姿勢が強い人”が結果的に組織をけん引してくれる可能性があります。私が過去に採用した若手エンジニアは、当初は経験が浅かったものの、社内のカルチャーや技術スタックにどんどん適応し、わずか1年でチームのリードを任せられるまでに成長しました。

価値観すり合わせ面談の実施

そこでおすすめなのが、選考プロセスのどこかで「価値観のすり合わせ面談」を設けることです。カジュアル面談にも近いと思います。これは、経営者や役員、マネージャーが直接候補者と対話し、「この会社で働くうえで大切にしている価値観」を双方が理解する場です。以下のような項目を話し合うと良いでしょう。

  • 会社のミッション・ビジョン: 候補者にとって共感できるか
  • 働き方や評価基準: フレックスタイムやリモートワーク、成果主義かプロセス重視かなど
  • 意思決定のプロセス: 経営陣主導か、チームメンバーとの合議制か

この面談で違和感を感じたら、無理に採用を進めないのも選択肢の一つです。後々のトラブルを未然に防ぎ、組織のパフォーマンスを最大化するためにも、“カルチャーフィット”の見極めは欠かせません。

オンボーディングと定着化戦略

優秀な人材を採用できたとしても、入社後のフォローが不十分だと早期離職を招き、結果的に採用コストと時間が無駄になってしまいます。実際、私自身も創業初期に「採用が終わればゴールだ」と思い込み、オンボーディングを後回しにしてしまったことで、入社後すぐに辞められるという苦い経験をしました。そこで気づいたのは、「採用の成功は、入社後の定着と活躍をしっかりサポートしてこそ完結する」ということ。ここでは、オンボーディングから評価制度、そしてやりがいの創出まで、ベンチャー経営者が知っておきたい定着化戦略を具体的にお伝えしていきます。

入社後初期研修・フォロー体制の整備

入社初日の体験がロイヤルティを左右する

新しく仲間が加わるタイミングは、企業側にとってもワクワクする瞬間です。しかし同時に、入社初日の対応がその人の“会社への愛着度”“長期的なモチベーション”を大きく左右することを忘れてはいけません。私が過去に失敗した例として、入社日に「PCのセットアップが終わっていない」「業務に必要なツールのアカウント発行が遅れている」など、準備不足で新メンバーを待たせてしまい、最初から会社の印象を悪くしてしまったことがあります。

  • 具体的なタスクの用意: 入社初日からスムーズに取り組める業務や研修を事前に準備
  • チームメンバーとの顔合わせ: 歓迎会やオンラインでも良いので一言ずつ自己紹介してもらい、早期にコミュニケーションのきっかけを作る
  • 会社のルール説明: コアタイムや休暇申請の方法、使っているツールなど、業務上重要な規則やフローをわかりやすく説明

こうした小さな配慮が、ベンチャー企業ならではのアットホームさや“動きの速さ”を感じさせ、メンバーに「この会社で活躍したい」という思いを強めてもらうきっかけになります。

メンター・バディ・カウンセラー制度の導入

さらに、メンターバディ、カウンセラーを新入社員につけることで、仕事上の悩みや疑問を気軽に相談できる環境を整備するのも有効です。私があるプロダクト開発チームを急拡大させた際、メンター制度を導入したところ、入社者の離職率が大きく低下しました。先輩社員との一対一の関係性があると、初期段階での孤立を防ぎ、業務効率や学習スピードの面でも大きな効果が期待できます。

  • メンターの役割: 技術的なサポート、会社の慣習やカルチャーの説明、将来のキャリア相談など
  • コミュニケーション促進: 定期的な1on1やランチミーティングで、進捗状況や困りごとを確認

“孤軍奮闘”してしまいがちな初期フェーズを支えてくれる存在がいるだけで、新入社員の精神的な安心感は大きく変わります。

評価制度とキャリアパスの提示

明確な評価基準で社員のやる気を引き出す

ベンチャー企業であっても、ある程度の規模になってくると評価制度の整備が避けては通れない課題になります。初期は「結果を出せば正当評価するよ」という口約束だけで成り立っていたとしても、メンバーが増えると不公平感が生じたり、頑張りが報酬やキャリアに反映されにくくなったりする恐れがあります。

  • “結果”だけでなく、過程・行動・姿勢を評価
    • 社員がどんなアプローチで課題解決を図ったのか、チームプレイを意識して動いたかなど、“結果以外の要素”もきちんと評価すると、挑戦意欲を育む雰囲気が醸成されます。
  • 評価制度を“見える化”する
    • 昇給や昇格の基準を数値や具体例で示すことで、「どんな努力をすればキャリアアップにつながるのか」を社員が理解しやすくなります。

私が過去に導入していた仕組みは、「OKR(Objectives and Key Results)」をベースに、四半期ごとに目標を設定し、その達成度や行動プロセスをチーム内でフィードバックし合うスタイルでした。あくまで大枠の仕組みですが、「頑張りを正当に評価してもらえる」という安心感は、メンバーの定着に大きく寄与しました。

キャリアパスを可視化し、成長イメージを持たせる

特に20〜30代の若手は、「この会社でどのように成長していけるのか」が不透明だとモチベーションが下がりやすいものです。そこで重要なのが、キャリアパスを具体的に提示すること。

  • 早期の裁量権付与: ベンチャーだからこそ、若手でも重要プロジェクトのリードや新規事業の立ち上げに関われる機会をつくる
  • ポジションアップのチャンス: マネージャーやリーダーを目指すキャリア、専門性を極めるスペシャリストの道など、複数のルートを示す

たとえば私のチームでは、入社1年目のエンジニアが大手クライアントとの共同開発プロジェクトを率いるようなケースもありました。もちろんリスクはありますが、若手でも責任ある仕事を任せることで大きく成長し、結果的にチーム全体の士気が高まる効果も期待できます。

待遇・福利厚生よりも重要な“やりがい”の創出

大企業にはない醍醐味を打ち出す

ベンチャー企業は、大手のように充実した福利厚生や安定した給与体系を提供できないケースが多いかもしれません。しかし、その代わりに「自分の仕事が事業や社会にダイレクトに影響を与える実感」を提供できるのは大きなアドバンテージです。私がある新規サービスを立ち上げた際、メンバー全員で「月間ユーザー数1万人突破」や「大手企業との契約獲得」という目標を達成したときの喜びは、大企業とは比べものにならないほどの“熱量”でした。

  • 自分のアイデアが即座に反映される
    • 少数精鋭のため、意思決定が速く、裁量権が大きい
  • 組織の歯車ではなく、“自分の存在意義”を感じられる
    • 一人ひとりが経営層に近く、経営戦略や方向性に直接関わるチャンスがある

柔軟な働き方・チャレンジできる文化の魅力

もう一つの魅力は、「若手でも責任ある仕事を任せる風土」です。大手企業では年功序列や厳格な階層構造がある場合も多いですが、ベンチャーなら実力と意欲があれば即座に昇進や新しい役割を任されるチャンスがあります。私の会社でも、20代前半で役員クラスに抜擢されたメンバーが存在しました。彼は猛烈な勢いで組織の成長をけん引し、会社のカルチャーを一変させるほどの影響力を発揮してくれました。

さらに、リモートワークやフレックス制など柔軟な働き方を推奨するベンチャーが増えているのも、若い世代にとって魅力的なポイントです。「仕事の成果で評価される環境」を用意すれば、場所や時間に縛られずに、自分のライフスタイルを大切にしながら力を発揮できるメンバーが増えます。

経営者自身が発信すべきメッセージとは

採用活動において、実は最も大きな影響力を持つのは「経営者自身がどれだけ採用に本気で取り組んでいるか」という点です。私自身、起業してすぐの頃は、採用を人事や現場リーダーに任せきりにしてしまい、「経営者の顔が見えない会社」と思われてしまったことがありました。しかし、経営者が前面に立って採用活動を進めるようになってから、候補者からの反応が一変。短期間で優秀なメンバーを次々と確保できただけでなく、社内のモチベーションも大きく向上しました。ここでは、経営者だからこそ発信できるメッセージと、その具体的な手法について掘り下げていきます。

経営者自らが採用活動にコミットする重要性

トップが採用を“社内最優先事項”として位置づける

まず大切なのは、社内に「採用こそ経営戦略の要である」というメッセージを浸透させることです。経営者自らが採用に強いコミットメントを示すと、組織全体が採用をサポートしやすい環境が自然と整っていきます。具体的には、

  • 定期的に採用状況をレビュー
    • 採用目標や進捗、候補者の質などを経営会議のアジェンダに加え、社内共有する
  • 現場からの意見を積極的に取り入れる
    • 実際に採用活動を行う現場リーダーやメンバーと頻繁にコミュニケーションを取り、改善アイデアを経営者が汲み取る

私がCEOを務めたスタートアップの例では、「採用進捗の遅れは経営者の責任」と明言し、私自身が週1回、採用チームとミーティングを実施。結果的に、候補者へのフィードバックスピードが劇的に改善し、採用効率も高まりました。経営者が採用を軽視していると候補者にも見透かされ、「本当に成長意欲のある会社なのか?」と疑われるリスクが高いので、トップが真剣に向き合う姿勢を示すことは欠かせません。

組織全体が採用に協力的になり、候補者にも真剣さが伝わる

経営者が採用方針を明確に打ち出すことで、チーム全体が「自分ごと」として採用に取り組むようになります。特にリファラル採用(社員紹介)を促進したり、SNSで社員が情報発信したりする際、経営者の強いメッセージがあると「自分も会社のために優秀な仲間を探したい」という前向きな空気が醸成されます。候補者から見ても「社長がここまで採用に力を入れている会社なら、きっとこの先もチームの成長を大切にしてくれるはずだ」と好印象を抱いてくれるのです。

経営者が語る「ビジョン」の魅力の伝え方

具体的な未来像を示す

ベンチャー企業を志望する候補者は、単なる“仕事の安定”よりも“会社の将来性”や“自身が成長できる環境”を重視しがちです。だからこそ、経営者が語るときは数字やスケジュール感を含めた具体的な未来像を示すことが重要です。たとえば、

  • 「3年後に◯◯市場で売上高10億円を目指す」
  • 「今後1年間でエンジニアを10名増員し、新機能を拡充する」

といった目標設定をあえて公開すると、候補者は「いま入社すれば、この成長の波に乗れる」と感じてくれやすくなります。また、「この未来を実現するために、あなたのスキルや情熱が必要なんだ」というメッセージを添えれば、さらに強力です。

自身の失敗談や原体験などの“個のストーリー”で共感を得る

経営者がビジョンを語る際、私が意識しているのは“自分自身の原体験”や“過去の失敗”を包み隠さず伝えること。たとえば、

  • 起業に至ったきっかけとなる挫折経験
  • 競合に大きく差をつけられた苦い思い
  • 仲間との衝突から学んだ組織づくりの重要性

など、リアルなストーリーは候補者の心を動かす大きな要素です。なぜなら、人は「共感できる物語」に引き寄せられるからです。私自身、創業時の資金繰りに苦しんだ体験や、そこから得た学びを正直に話すことで「一緒にこの困難を乗り越えたい」と共感してくれる仲間に出会えたことが何度もあります。

経営者ならではの情熱を言葉や行動で見せる

最後に、経営者の情熱や信念が伝わるかどうかは候補者の決断に大きく影響します。大げさに言えば、「この社長となら一緒に戦ってみたい」と思わせるかどうかが勝負の分かれ目。だからこそ、面接や説明会などの場でビジョンを語る際は、言葉だけでなく行動や表情でも“本気度”を表現しましょう。オンラインでもオフラインでも、“熱量”は画面越しに伝わるものです。

SNS・メディアでの発信戦略

経営者のX(旧、Twitter)から生まれる採用チャンス

現代の採用活動において、SNSは大きな武器になります。経営者自身がX(旧、Twitter)で会社の取り組みや考え方を発信していると、思わぬところから優秀な人材に見つけてもらえるケースが増えます。私自身、X(旧、Twitter)で技術・経営両面に関する情報発信を継続していたところ、ある日「実はあなたのビジョンに共感していて、ぜひお話を伺いたいです」というダイレクトメッセージを受け取り、それがきっかけで採用につながったことがありました。

  • 経営の考え方や会社の近況を定期的に投稿
    • プロジェクトの進捗報告やイベント参加の様子などを共有すると、候補者が「この会社にはどんな挑戦があるのか」をイメージしやすくなる
  • フォロワーとの交流を大切にする
    • コメントやメッセージに可能な限り返信し、SNSでも双方向のコミュニケーションを育む

メディアやインタビューの活用

さらに、スタートアップやベンチャー向けのメディアに取材を受けたり、インタビュー記事を掲載してもらったりすることで、認知度と信頼度を一気に高めることができます。特に大手のビジネス系メディアに露出できれば、求職者の目に留まりやすくなるだけでなく、パートナー企業や投資家との出会いも増えるかもしれません。

  • プレスリリースの活用: 新サービスや資金調達などニュース性のあるトピックがあれば積極的に情報発信
  • 経営者インタビュー記事: 事業の課題や展望を深堀りする内容を載せると、会社の魅力が立体的に伝わる

私の場合、新規プロダクトの発表時にテック系Webメディアにプレスリリースを出し、それをきっかけに複数のオンラインニュースサイトが取り上げてくれました。その結果、採用面だけでなく、サービス利用者やビジネスパートナーの獲得にも繋がりました。

まとめ

ここまで「ベンチャー企業における採用活動のポイント」を幅広く取り上げてきましたが、改めて重要なエッセンスを総括し、次に何をすべきかを整理してみましょう。ベンチャーの採用において大切なのは、単に優秀な人材を“数”で集めることではなく、経営者のビジョン組織カルチャーにしっかりフィットするメンバーを見極め、入社後の成長環境を整えることです。

ポイントの総括

  1. ベンチャーでは「経営者のビジョン」と「組織カルチャー」が採用の決め手
    • 人材を惹きつけるうえで、会社の将来像や経営者の情熱が何よりも重要。
    • 自社が本当に求めている価値観や行動指針を、具体的な言葉で語ることがポイント。
  2. スキルだけでなく、社内へのフィット感を重視すること
    • 変化の激しい環境で長期的に活躍できる人材かどうかを見極める。
    • マインドセットやコミュニケーション能力、主体性なども採用基準に含める。
  3. 入社後のオンボーディングと成長支援で、採用コストを最適化
    • 採用がゴールではなく、入社後のフォローこそが定着率を左右する。
    • メンター制度や評価基準の明確化により、早期離職を防止し、組織全体の生産性を高める。

今すぐできるアクション例

  1. 採用サイトや募集要項を見直し、自社の魅力を再定義
    • ミッション・ビジョン・バリューを改めて言語化し、「なぜこの会社は存在するのか?」を分かりやすく伝える。
    • 採用ページや求人情報に、活躍中の社員の声や具体的な業務内容を充実させる。
  2. 経営者や社員がSNSで定期的に情報発信
    • TwitterやLinkedInなどを活用し、社内の雰囲気や挑戦しているプロジェクトを公開する。
    • “共感”によって応募が増えるだけでなく、社内メンバーの意識向上にもつながる。
  3. 社内でリファラル採用制度を整備し、実施を促す
    • 社員の信頼関係を活かした紹介採用は、カルチャーフィット度が高く、コスト面でもメリット大。
    • ただし、依存しすぎるとリスクもあるため、制度の運用ルールやインセンティブ設計を明確に。

ベンチャー企業が成長するためには、何よりも「人の力」が不可欠です。経営者のビジョンに共感し、カルチャーにフィットしたメンバーが集まれば、少数精鋭でも驚くほど大きな結果を出すことができます。


一方で、採用活動を軽視してしまうと、せっかく集めた人材が早期に離職したり、組織が混乱したりして、結果的にコストがかさむリスクもあります。

本記事でお伝えしたポイントを踏まえつつ、ぜひ「採用は経営そのもの」というマインドで、これからの採用戦略をブラッシュアップしてみてください。組織が自走し、持続的に成長していく土台がしっかり整えば、あなたの会社は次のステージへと一気に飛躍するはずです。

ABOUT ME
渋谷の君主
渋谷の君主
経営者
渋谷でコンサル・IT系の企業を経営する経営者。 前職のコンサルティングファームを経て、渋谷で起業。

数十人規模の会社を経営する傍ら、ブログやSNSで情報発信。 SNS依存症。
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